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Demon Gaze Extra

※This review is also available in English / 本レビューの英語版はこちらで読めます

2013年にPlayStation Vita専用ソフトとして発売され、瞬く間にカルトヒットとなった『デモンゲイズ』。しばらくVita専用ソフトに留まった本作だが、2021年に新要素を追加したリマスター版『デモンゲイズ エクストラ』として現行機とPCでついに発売されました。

ゲームの舞台となるのは、長い間荒廃したままの城とその周辺地域。さらに、この地域の迷宮には強力な「デモン」が住み着いており、現在はほとんど一攫千金を狙う賞金稼ぎしか訪れない。

Demon Gaze Extra

主人公は、この地域で唯一の宿屋「竜姫亭」の地下にあるダンジョンで目覚め、自分がデモンゲイザーであることを知ることになる。デモンゲイザーとは、デモンを捕らえ操る力を持つ者のことで、彼はこの地域の迷宮を探索し、そこに棲むデモンを狩るハンターとなる。

内容的に『デモンゲイズ エクストラ』は、ターン制の戦闘を伴うオーソドックスなダンジョンRPGである。プレイヤーは最大5人のキャラクターで構成されるパーティで戦闘をこなしながら、一人称視点でダンジョンを探索していく。パーティは前列と後列に分かれており、どちらの列も最大4人、前列は最少1人となっている。

ダンジョンRPGや一般的なRPGに慣れている人なら、すぐにシステムに慣れる一方、本作には同ジャンルの他のゲームとは一線を画す、面白い要素がいくつも盛り込まれている。

デモンゲイズエクストラ
ボスとして立ちはだかるデモンを倒すことで、そのデモンを使役できるようになる

最も顕著なギミックは、タイトルにもなっている「デモンゲイズ」。デモンは各ダンジョンのボスとして登場し、倒すことで主人公はデモンゲイズという魔眼の力でそのデモンを使役することが出来る。一度に装備できるデモンの数は決まっており、戦闘時には個別に召喚する必要がある。探索に役立つ特殊能力や戦闘時のバフなど大きなメリットがあり、戦闘時に召喚すると自立行動する強力なパーティメンバーとして活躍する。

デモンゲイズエクストラ
ジェムサークルを使うことでプレイヤーは欲しいドロップの傾向を決められるが、使用の度にドロップアイテムの品質に比例した強さの敵もエンカウントする。

他に注目すべきなのは「ジェムサークル」システム。ジェムサークルとは、ダンジョン内にある特殊なシンボルで、その数は決まっている。この場所でジェムと呼ばれる特殊なアイテムを使用すると、ジェムの種類や数に応じた装備品を落とす敵を召喚することができる。また、ジェムサークルは各ダンジョンの「目的」にもなっており、すべてのジェムサークルを制覇することでボスが出現する。更に、ジェムサークルはセーブ&ロードポイントとして機能し、プレイヤーが装備したデモンを交換することもできる。なお、ダンジョン内で手に入る消耗品などのアイテムやショップで購入できる装備品もあるが、大半の装備品はジェムサークルを使用することでしか手に入らないため、ジェムとジェムサークルは非常に重要な存在となる。

要素とはちょっと違うが、本作が資源管理に重きを置いていることも特筆に値する。宿屋に戻るたびに家賃を支払わなければならず、その金額はパーティメンバーが増え、ゲームが進行するにつれて上がっていく。さらに、パーティのメンバーを増やすには、ある程度まとまった資金が必要になる。

デモンゲイズエクストラ
パーティは宿屋「竜姫亭」で部屋を借りており、ダンジョンから戻るたびに安くはない家賃の支払いを請求される

収入源のひとつはジェムサークルで入手した装備品を売ることだが、装備品は「エーテル抽出」で分解して他の装備の強化に使うこともできるため、プレイヤーは不要な装備を売るか、強化に使うかを選択しなければならないことになる。このように管理が大変と思うプレイヤーも多いかもしれないが、その分、うまくやりくりできた時や、パーティが5人になった時などは非常に大きな満足感や達成感を得られるだろう。

デモンゲイズエクストラ
ダンジョン「青の旧市街」では魔法の使用が制限される上に、複雑な潮流の流れが行く手を阻む

本作はダンジョンRPGとして非常に充実している。多くのダンジョンに面白いギミックがあり、飽きさせない。また、「オートパイロット」機能により、一度探索した場所には自動で高速で移動することができる。さらに、本作では単に次々と新しいダンジョンが解放されるだけではなく、プレイヤーは新しい能力やアイテムを得ることでそれまでのダンジョンにおいて新しい道を発見することも多い。

エンカウント率が高く感じることもあるが、前のターンの行動を高速で繰り返せる機能もあるため、ランダムエンカウントが面倒に感じることはなく、多くの場合、ほんの数秒で戦闘が終了する。一方、ボスは手強いバランスになっており、非常に満足できる戦闘が提供されている。また、ゲームには難易度変更の機能もあり、プレイヤーは自分の好みに合わせて難易度を変えることもでき、さらに戦闘に負けた場合はすぐにその戦闘をリトライすることがでる。

Demon Gaze Extra

DRPGというジャンルのファンは、パーティの編成に自由度を求める傾向があるが、本作はその点においても期待を裏切らない。キャラクター作成時に選択できるクラスは7種類、種族は5種類で、合計35種類の組み合わせが可能。さらに、本作には「神器」という装備品があり、キャラクターが装備することで、通常では使用できないスキルを使用できるようになる。

ただし、ゲーム内に存在する神器をドロップさせるジェムの数は限られている。1周目のプレイで全種類の神器を集めることは可能だが、そのためには計画性とクリア後に入手するアイテムが必要となるため、メインストーリー攻略中ではある程度のランダム要素を付加している。クラスや種族が豊富なため何度もプレイできる本作だが、神器というランダム要素を更にスパイスとして使うことでその側面を強めている。

デモンゲイズエクストラ
主人公の種族・性別・クラスは固定されている

一方、主人公のクラス、種族、性別が固定されていることはDRPGファンにとってあまり歓迎されない要素と言えよう。主人公の名前、外見、声はプレイヤーが自由に変更できるが、ストーリーやシステム上では常に「人間」の「男性」として扱われ、クラスも「デモンゲイザー」に固定されている。ただ、デモンゲイザーはデモンを召喚して操ることに特化した主人公の固有クラスで、召喚されたデモンが6人目のパーティメンバーとして機能するため、少なくとも戦闘においては最終的にはプレイヤーの選択の幅が広がります。

本作ではパーティメンバー用の立ち絵が多数用意されており、エクストラではVita版からさらに追加されているが、特に同じ種族やクラスのキャラクターを複数使用する場合は、まだ物足りなさを感じることが多い。

また、主人公と個性的なNPCたちを中心としたストーリー展開も、DRPGファンには少し不評かもしれない。無口な主人公はそれなりに重要な役割を担っているものの、他のパーティメンバーはストーリー上、存在しないも同然。DRPGに馴染みのないRPGファンにとっては、このようなストーリーは没入しやすい一方、パーティメンバーがこのような扱いを受けるのは違和感を感じるかもしれない。

デモンゲイズエクストラ
新クラス「マキナ」はカスタマイズ性が非常に高い

なお、『デモンゲイズ エクストラ』がオリジナル版と比較して最も大きく変わった点は、新クラス「マキナ」の追加。ある程度進行した時点で解禁されるマキナは、初期ステータスの自由な配分が可能だが、独自のスキルはほとんど持っていない。その代わり、成長するにつれて神器のスロットが追加され、カスタマイズ性の極めて高いクラスとなっている。

本作は、オリジナルのVita版と比較すると、システムが大幅に向上しているが、まだいくつかの問題も残っている。例として、プレイヤーは戦闘中に行動ログを見ることがでるが、ストーリーパートにバックログ機能は存在しない。また、各クラスがレベルアップで習得するスキルを予め見る方法はゲーム内には用意されておらず、ゲーム外の資料を見ずにステータス配分を計画的にやるのは難しく、ステータス配分をリセットする機能もない。さらには、直前のセーブをロードする以外に、誤って売却・分解したユニーク装備を元に戻す方法もない。

本作には難易度変更や親切なシステム、しっかりとしたストーリーがあるため、DRPGというジャンルに馴染みのないRPGファンにとって入門的なゲームとして最適なゲームである一方、自由度の高さや数々のギミック、手ごわいエンドコンテンツなどでDRPGファンも十分に楽しんでもらえる、誰にでもお勧めできる隠れた金字塔と言えよう。

85/100

 

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A review copy of this game was provided by the developer.

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